ソフトウェアライセンス契約の説明−5COMPANY
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3.ソフトウェア・ライセンス契約(サブライセンス権付き)の構成とポイント−5
- エスクロウ条項
秘密保持に関連して、エスクロウ条項を設ける場合も多くなっています。
エスクロウとは、プログラムのソースコードなどの秘密情報について、エスクロウ・エージェントに預けておき、ライセンサーが破産したり問題が発生した場合、ライセンシーがそのエージェントからソースコードなどを引きだして使用することが可能となる、そういう仕組みです。
ライセンサーがソースコードの引渡しを望まない場合において、ライセンサーが倒産してしまうと、ライセンシーの本ソフトウェアにかかる事業は、ライセンサーからのサポートやバージョンアップ等が受けられず、必然的に消滅してしまわざるを得ません。
でも、エスクロウ・エージェントにソースコードが保管されていれば、ライセンシーはそれを引きだし、そのサポートやバージョンアップ等を行いうる可能性が残ることになります。
日本ではまだあまりエスクロウ・エージェントはSOFTIC(一般財団法人 ソフトウェア情報センター )等数社しかないようですが、外国では多数のエージェントが活動しています。
費用はそれなりにかかりますが、大切な事業を継続させるためにどうしても必要ということであれば、利用してみるのも一考です。
- 契約期間条項
契約期間に関しては、自動更新とすることが多いと思いますが、期間満了前に交渉義務を互いに課す等の規定にとどめる場合もあります。
最大のポイントは、特に独占的なライセンス契約の場合に、どの程度の期間を当初期間とするか、という問題です。
2年とか3年という期間を設定した場合、その期間が終了しない限り、理由なくライセンス契約を終了させたり解除させたりすることはできません。
その間、その地域における本ソフトウェアにかかる一切の営業・販売活動を、当該ライセンシーに委ねるのですから、ライセンサーとしては短期の契約とし、うまく行ったら継続、という扱いにしておきたいところです。
しかし、ライセンシー側としては、販売網の開拓、整備、顧客基盤の整備、技術の習得、保守サービス提供の必要性など各方面において多大な努力を払う訳ですから、短期に終了したのでは元がとれません。
また、契約終了後においてもなお効力を有する「残存条項」の定めを置くことも重要です。
例えば、知的財産権紛争や、損害賠償、秘密保持義務等は、契約が終了したからといって無罪放免されるとするのは問題があります。
したがってそれらについて、契約終了後もなお効力がある旨を規定します。
- 解除条項
契約期間前に契約を終了させる条件を規定するものです。
催告なしに解除できるとする項目と、債務不履行など催告の上解除できるとする項目に分ける場合もあります。
ライセンサーから見た場合、ライセンシーがまともな営業活動をしない場合や、ライセンサーの信用に傷が付きそうな場合など、解除に訴える必要がある場合は多いと思われます。
ライセンシーから見た場合、非独占的な契約で、ミニマム・ロイヤルティの定めなどがない場合には、発注さえしなければ良いのですから、解除するメリットはあまりないでしょうが、ライセンサーに対してミニマム・ロイヤルティを期間毎に支払う義務を負っているような場合、あるいは競合品の取り扱いを制限されているような場合には、解除にメリットがあります。
なお、解除に加え「期限の利益喪失」条項を入れる場合もあります。
これは、解除と同じような事由が発生した場合に、金銭債務者=ライセンシー側の期限の利益を喪失させることにより、直ちに支払わせることを目的とするものです。
代金は直ちに支払ってもらいたいが、契約解除して新たなライセンシーを探す手間は省きたい、という場合には、この期限の利益喪失条項を併せて(又はそれのみを)規定すべきです。
- 契約終了の効果条項
契約が解除又は期間満了によって終了した場合、ライセンシーには、ライセンサーの名称や商標などが記載されたパンフレットやカタログが残っている場合もあります。
あるいは、「当社はライセンサーから正当に権利の許諾を受けた独占的な正規のライセンシーです」という宣伝文句が掲載されている場合もあります。
本条は、契約が終了した時点で、それらの使用を直ちに終了させたり、残存する情報やカタログ等を廃棄させることを義務付ける規定です。
また、契約終了時点の個別契約の扱いについても、ここで扱っても良いでしょう(契約期間の条項参照)。
さらに、契約終了時点での未払い金について期限の利益が失われることも規定したいところです。
- 輸出管理条項
ライセンシーがライセンサーから導入した本ソフトウェアを国外へ輸出、持ち出し等をする際に、許可取得等の適切な輸出手続きを取る旨を規定したものです。
日本、米国、EU等において定められている大量破壊兵器の拡散を防止するための規制が適用される製品の場合、個別に輸出許可を取得したり、許可品ではない場合でも非該当証明を付けなければならない場合があります。それをライセンシーとして順守することを求めるための規定です。
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